控除期間は10年と15年のどちらが有利かについて
平成18年度の税制改正で所得税から住民税への税源移譲が行われた関係で、それまで住宅ローン控除を受けていた人が、所得は変わらないのに所得税が減少することにより、控除額が少なくなってしまうということがありました。
そこで、平成19年度からは、収入の少ない人でも控除が受けやすいように、控除額の合計金額は変えずに、「現行の控除期間10年」と、「毎年の控除額を引き下げた控除期間15年」の選択制になりました。
ただし、一度選択してしまうと後から変更はできませんので、事前にシュミレーションを行って有利な方を選択した方がよいと思われます。
控除期間は15年が有利?
住宅ローン控除は、所得税額控除の制度なので、控除可能額がいくら多くても所得が低い人の場合はその恩恵をすべて受けられません。
例えば、次のようなケースで考えてみます。
■サラリーマンで年収は500万円の人
■基礎控除、扶養控除、社会保険料等は180万円
■課税対象額は、500万円−180万円=320万円
■税率10%として所得税法上の控除額が95,000円とすると、320万円×10%−95,000=225,000円
上記のような場合に、金利3%の住宅ローン3,000万円を35年返済で借りた場合には、住宅ローンの控除額は225,000円ですから、控除期間10年の上限金額である25万円に達しません。これですと、控除枠をフルに活用できずに不利になってしまいます。
なので、所得の低い人については、新たに創設された控除期間15年の方を選択した方が有利ということになります。
これとは反対に、所得の多い人は住宅ローン控除額の上限をフル活用できますので、現行の控除期間10年を選択した方が有利です。
また、繰上返済などを行ってローン残高を減少させて、返済期間の短縮をしようとしている人の場合も現行の控除期間10年の方が有利です。 |